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Asian Breeze

『Asian Breeze』は、(公財)アジア女性交流・研究フォ-ラム(KFAW)がアジアの女性関連情報を日本語と英語で発信しているニュ-ズレタ-です。
ジェンダ-平等、女性・少女のエンパワ-メント、SDGs、環境問題など、最新のトピックスを幅広く取り上げており、「アジアの女性の今」を見ることが出来ます。是非ご覧下さい。



Asian Breeze110号(ウェブニュ-ズレタ-)

国境紛争がカンボジアの⼥性と少⼥に与える影響

-ヴィサルソックヴァタイ・シン(カンボジア)

 

岐路に⽴つ国:バングラデシュにおける
ジェンダーに基づく暴⼒の動向(2024 年8 ⽉以前と以後)

-ファリン・ビンタ・ザヒル(バングラデシュ)

 

Asian Breeze 110号では、KFAWの海外通信員2名のリポートを掲載しています。カンボジアのヴィサルソックヴァタイ・シンさんには、カンボジアで進行中の国境紛争が女性と少女に与える深刻な影響について報告していただきました。また、バングラディッシュのファリン・ビンタ・ザヒルさんにはバングラディッシュの政変によるジェンダーに基づく暴力の動向について報告していただきました。

 

110号 2025年11月発行


Asian Breeze109号(ウェブニュ-ズレタ-)

北京+30を迎えて—北京会議への参加は何をもたらしたのか?

-織田 由紀子(JAWW(日本女性監視機構)顧問)

 

Asian Breeze 109号ではJAWW(日本女性監視機構)顧問の織田由紀子氏に執筆いただきました。北京会議から30年。世界とつながった北九州の女性たちが、学びを地域に広げ、ジェンダー平等の推進に貢献してきた歩みを振り返ります。

 

109号 2025年9月発行


Asian Breeze 108号(ウェブニュ-スレタ-)

パキスタンにおける女性の経済的エンパワーメント:課題と進歩

-ジャワリア・A・カシフ(パキスタン)

 

カンボジアにおける政府のジェンダー平等政策の進展

-ヴィサルソックヴァタイ・シン(カンボジア)

 

Asian Breeze 108号では、KFAWの海外通信員2名のリポートを掲載しています。パキスタンのジャワリア・カシフさんには、女性の経済的エンパワーメントに向けた取組と、ジェンダー平等を妨げる課題について報告していただきました。また、カンボジアのヴィサルソックヴァタイ・シンさんには、カンボジアのジェンダー平等政策と、教育・職業分野における進展について報告していただきました。

 

108号 20257月発行


Asian Breeze 107号(ウェブニュ-スレタ-)

国連女子差別撤廃委員会の最終見解

-KFAW

 

Asian Breeze 107号では2024年10月17日に行われた国連女子差別撤廃委員会(CEDAW)の日本審査の概要をお届けします。この審査は、ジェンダー平等の促進と女性に対する差別撤廃に重点を置いて行われました。建設的対話(対面審査)の後、CEDAWは2024年10月29日に最終見解を公表し、女性が結婚後も旧姓を保持できるようにすること、女性の国会議員立候補に必要な供託金の減額、避妊へのアクセスの改善、そして中絶法の改正などの重要な勧告を行いました。

 

107号 20253月発行


Asian Breeze 106号(ウェブニュ-スレタ-)

パキスタンにおける女性の貧困と経済的エンパワーメント

-シャバナ・マーファス(パキスタン)

 

フィジー国会における女性の代表:
クオータ制は前進への道となるか?行動への呼びかけ

-ザイナ・シャミーン(フィジー)

 

Asian Breeze 106号では、KFAWの海外通信員2名のリポートを掲載しています。パキスタンのシャバナ・マーファスさんには、パキスタンの女性の行動の変化とその要因を経済的な視点からリポートしていただきました。またフィジーのザイナ・シャミーンさんには、フィジーの国会における女性参画の現状と、クオータ制の導入についての見解をリポートしていただきました。

 

106号 2025年2月発行


Asian Breeze 105号(ウェブニュ-スレタ-)

CSW68の概要

-堀内光子(KFAW理事長)

 

Asian Breeze 105号では2024年3月にニューヨークの国連本部で開催されたCSW68の概要をお届けします。国連女性の地位委員会(CSW)は国連経済社会理事会の機能委員会(ECOSOC)の一つで、ジェンダー平等と女性の地位向上に取り組んでいます。年次会会合が毎年3 月頃にニューヨークの国連本部で開催され、ECOSOCに勧告、報告、提言を行っています。第69回国連女性の地位委員会(CSW69)は2025年3月10日~21日に開催されます。

 

105号 2025年1月発行


Asian Breeze 104号(ウェブニュ-スレタ-)

包摂的な計画による道路プロジェクトの改善

-ザフィヤ・シャミム(フィジー)

 

保育所はいかに女性に翼を与えるのか

-スワプナ・マジュムダール(インド)

 

Asian Breeze 104号ではKFAWの海外通信員4名のうち2名のリポートを掲載しています。フィジーのザフィヤ・シャミムさんにはインフラ整備において女性の視点を取り入れる包摂的な計画の試みと、その進展についてリポートしていただきました。またインドのスワプナ・マジュムダールさんには、保育所の開設によって母親たちが経済的に自立していく過程をリポートしていただきました。

 

104号 2024年12月発行


Asian Breeze 103号(ウェブニュ-スレタ-)

希望を生み出す

―小川健一郎(大阪YMCA 総主事)

 

Asian Breeze 103号では大阪YMCA総主事の小川健一郎氏に学校法人大阪YMCAの教育活動についてジェンダーの観点を含め執筆していただきました。従来の教育観を見直す実践の一端をお届けします。

 

103号 2024年7月発行


Asian Breeze 102号(ウェブニュ-スレタ-)

パキスタンにおけるジェンダーに基づく暴力の概要

―ジャワリア・A・カシフ(実務弁護士)

 

Asian Breeze 102号はパキスタンの実務弁護士ジャワリア・A・カシフ氏にパキスタンのジェンダーに基づく暴力(Gender-Based-Violence)について概説いただきました。ロイター財団の指標で女性にとって危険な国ワースト6位に位置するパキスタンの現状と法整備について弁護士の観点から鋭く論じます。

 

102号 2024年5月発行


Asian Breeze 102号




パキスタンにおけるジェンダーに基づく暴力の概要

-ジャワリア・A・カシフ(実務弁護士)

パキスタンの女性たちは、ジェンダー平等を達成するための取組において困難な課題に直面しており、自国におけるジェンダーに基づく暴力(Gender-Based Violence、以下GBVと表記)への対応を迫られている。特に、慣習的な規範や慣行(交換結婚 、聖典コーランとの結婚2、カロ・カリ3、ヴァニ4、サワラ5、名誉殺人6など)がもたらす問題がある。彼女たちは主に、結婚の強要、改宗の強要、公共の場や職場でのセクハラ、家庭内暴力、名誉殺人などの暴力に遭っている。

また性的搾取や強制労働を含む搾取目的の女性や少女の違法取引も、パキスタンでは蔓延している。パキスタンの女性は、よりよい仕事の機会を与えられるという偽りの約束によって湾岸諸国に人身売買され、そこで性的虐待を受けることが多い。貧困、非識字、家父長制、基本的な法的権利に関する認識の欠如が、パキスタンにおけるGBVの根本原因である。

1 パキスタンやアフガニスタンでは、交換結婚として知られる慣習が存在する。2つの家族がそれぞれの息子と娘を同じ家族同士で結婚させることを指す。この慣習は持参金や結婚式の費用を節約するために行われることもあり、兄弟姉妹という同年代間での交換結婚が一般的であるが、時には親子ほど年の離れた間柄で行われることもある。特に貧困層でこの慣習が広く行われている。

2 聖典コーランとの結婚とはパキスタン南部のシンド地方に根付いた古い習慣で、裕福な家族が娘や妹の結婚時に財産を女性に相続させたくない場合、彼女がコーランと結婚をしているという理屈で一生結婚できないように宣言することをさす。

3 カロ・カリは特にパキスタンのシンド地方で、名誉殺人と同義語として使われる。名誉殺人については後述する。

4 Vani (custom)―ウィキペディア(英語)

ヴァニとは、未成年の少女たちが、紛争を終わらせるために結婚や奴隷労働を強制される習慣のこと。

5 サワラとは、紛争を終結させるための代償として、少女(多くの場合未成年)を不満のある家族に結婚、または隷属させたりする風習のことで、しばしば殺人も伴う。

6 名誉殺人とは、自由恋愛をした女性やその支援者を「家族の名誉を汚す」と見なし、家族がその名誉を守るために私刑として殺害する風習のこと。

-パキスタンで最近報告されたGBV事件は以下のとおり:

– 2024年3月29日、男性が再婚を拒否した妻7を殺害。

– 2024年2月26日、ある女性がアラビア語のプリントの入った服装8をしていたためにハラスメントを受けた。警察が介入し、暴徒から女性を救出。

– 2024年3月17日から18日にかけての夜被害者9は兄と父親から近親相姦を受け、殺害された。最初の報告によると、彼女は妊娠しており、彼らは彼女を殺害する計画を立てていた。

– 2024年2月25日、12歳の家政婦が拷問10され殺害された。

– 2023年11月29日、ソーシャルメディア上の写真に10代の娘が写っていたため、男が家族の長老の指示で10代の娘を殺害。11

– 2023年9月27日、パンジャブ州で誘拐された女性がレイプ12後に殺害された。

– 2023年3月、ラホールでキリスト教の未亡人が改宗を拒否したためにレイプされ殺害された。

憲法による保護や国際的な取り決めにもかかわらず、様々な資料はGBVが様々な形で全国的に存在することを示している。ロイター財団が2022年に発表した報告書によれば、パキスタンは、女性にとって全体的に危険な国として上位6位、家庭内暴力ではワースト5位に位置しており、国際的に見て女性の安全が確保されていない国である。

国家人権委員会(NCHR)は2023年3月8日、政策概要13を発表し、パキスタンにおける3年間のGBVの事例が約6万3000件に上ると報告した。特に懸念されるのは、Covid-19の蔓延を緩和するために実施されたロックダウンに端を発する2020年前半に始まったGBVの急増である。ロックダウンが実施された後、最初の半年で約4,000件のGBVが報告されたが、その後の2年半では、半年あたり平均10,500件のGBVが報告された。このGBVの急激な増加は、ロックダウンによる家族の時間の増加とDV事件の悪化との間に強い相関関係があることを浮き彫りにしている。これらのケースの80%は家庭内暴力に関連するものであり、約47%は既婚女性が性的虐待を受ける家庭内レイプに関連するものだった。このデータは報告されたケースに基づくもので、実際の件数はさらに多いことが懸念される。

パキスタンのパンジャブ州で1,000人の女性を対象に行われた調査によると、既婚女性の70%から90%が、配偶者からの虐待や家庭内暴力を経験している。配偶者やその他の男性親族による女性への暴力は、パキスタンで最も蔓延している暴力の形態である。また早期の児童婚は、配偶者による暴力の主な原因のひとつである。未成年の少女は結婚生活の責任を負うほど成熟しておらず、そのために配偶者やその他の親族から暴力を受けている。暴力は肉体的なものだけでなく、心理的なもの、言葉によるもの、経済的なものなど様々である。このような恐ろしい行為を引き起こす原因はいくつもある。その最たるものが、パキスタンにおいて家父長制が敷かれ、男性優位が広く見られるという事実である。

最近発表された『パンジャブ・ジェンダー・平等・レポート2022』14は、女性に対する暴力事件が驚くべき頻度で発生していることを露わにしている。報告書では、パンジャブ州単独の女性に対する暴力事件を取り上げている。しかし、国内の他の地域でも、同様に女性に対する暴力事件が発生している。パンジャブ警察監察官事務所が2022年に収集したデータ15によると、パンジャブ州では34,854件もの女性に対する暴力事件が報告されており、最も多い犯罪は誘拐であった。また、この1年間に1,024人の女性が殺害された。殺害された女性のうち、395人が家庭内暴力で、176人が名誉殺人16、453人がその他の動機で命を落とした。パキスタンの他の州における有罪や無罪の割合を示す具体的な数字はないが、パンジャブ州で報告されたGBV事件のうち、有罪判決を受けたのはわずか4%で、96%は無罪判決に終わっている。

すべての性別、特に女性が暴力、虐待、差別、搾取から保護される暴力のない社会を実現するために、パキスタン政府、NGO、権利擁護団体が協力し、その努力の結果、優れた連邦法、州法17が制定され、その実施のための強力な制度も施行されている。パンジャブ・パキスタンにおける法整備の好例として、夫、兄弟姉妹、養子、親戚、家庭内雇用主による家庭内、性的、心理的、経済的虐待、ストーカー行為、サイバー犯罪から女性を守ることを目的とした「パンジャブ対暴力女性保護法」(The Punjab Protection of Women against Violence (Amended) Act 202218)の施行が挙げられる。2022年のPPWAV法改正後、パンジャブ州女性保護局のもとに設立されたパンジャブ・パキスタンの地区女性保護センターは、ひとつ屋根の下でGBVサバイバーにサービスを提供している。

2022年の「職場におけるセクシャル・ハラスメント防止法」(The Protection against Harassment of Women at the Workplace (Amendment) Act, 202219 )も非常に良い法律である。これは職場の定義を拡大し、正規の職場と非正規の職場の両方を包含するものである。この新しい法律で保護されるのは、特に職場での暴力やハラスメントのリスクが高い家事労働者も含まれている。この法律においてハラスメントの定義が拡大され、「性別を理由とする差別(性的であるかどうかは問わない)」も含まれる。これまでに寄せられたハラスメントに対する訴えのデータは、詳細な報告書20に記載されている。

トランスジェンダーをハラスメントや差別から保護し、救済し権利の擁護を図り、福祉を増進するために、「2018年トランスジェンダー(人権保護)法」(The Transgender Persons (protection of rights) act 201821)がパキスタンの国会で可決された。「反レイプ(調査および裁判)法(2021年22」(Anti-Rape (Investigation and Trial) Act 2021 )第13条1項は、GBVの被害者の医学的・法的診察のための2本指処女検査を明示的に禁止している。GBV法廷でのオンカメラ審理 も、GBVサバイバーが事件について適切に語ることができるように行われている。

パキスタンは、最近の積極的な法整備の後、ジェンダーに無関心な状態から、正式な制度によっていくらかジェンダーを考慮する状態へと移行した。パキスタンの女性たちは、自分たちの権利についてゆっくりと少しずつ理解し、そのために闘い、声を上げている。しかし、女性の安全を確保するまでの道のりは遠く、パキスタンにおけるGBVを根絶するための総合的な取り組みが急務である。

著者について
ジャワリア・A・カシフ

家族事件弁護士,GBV専門家,女性の権利活動家,
ラホール(パキスタン)地区女性保護センター任意弁護士パネルメンバー。
KFAWの第28期海外通信員。

GBV被害者との法律啓発セッション

女性の権利、権利の否定に関する法的処罰について男性も感化され、家族の中で女性を平等に扱うよう指導される

公共の場でのハラスメントや、職場でのハラスメントに関する女性への啓発セッション

大学生を対象にした、家族法や憲法の基本的権利に関する啓発セッション

パキスタンにおけるトランスジェンダーの権利に関するセッションで、トランスジェンダーが国家データベース登録局 ( National Database and Registration Authority)とID登録に関する問題について議論している

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